財政再建 financial reconstruction 2004 1 15
財政再建というと、橋本政権の財政再建を連想するでしょう。
橋本政権では、「火だるま内閣」になる覚悟で、財政再建を行ったとされます。
消費税を、3%から5%に引き上げたことが、記憶に残っているでしょう。
これに対し、個人消費を冷やしたとの批判が、今でも多いのですが、
財政再建そのものは、誤りではなかったのです。
財政再建の方法に、誤りがあったのです。
「消費税率の引き上げ」ではなく、その前に、
消費税の欠陥を是正すべきだったのです(下記1を参照)。
さらに、赤字法人に代表される、
税制の抜け穴を是正すべきだったのです(下記2を参照)。
こうしてみると、「火だるま内閣」と言いながら、
やったのは、抜本的改革を先送りして、
消費税率の引き上げだけを、やったのです。
1.<消費税の欠陥>
(注意)この欠陥は、最近の税制改正で、一部修繕されたそうです。
詳しくは、税務署に確認してください。
「各国の消費税制度の比較」
(免税業者売上高)
日本 3000万円以下
フランス 400万円以下
ドイツ 670万円以下
イギリス 979万円以下
(簡易課税制度適用上限)
日本 2億円(中小企業に大きな特典)
フランス なし
ドイツ 804万円
イギリス なし
(税算出のための前段階控除の方式)
日本 請求書等保存方式(消費税不信の原因になっているとの意見あり)
フランス インボイス制
ドイツ インボイス制
イギリス インボイス制
2.<赤字法人の問題>
この問題が、非常に大きいのです。
たとえば、バブル経済の時でさえ、
課税法人は、52%だったのです。
あのバブル経済の時でも、課税法人は、半分しか、なかったのです。
つまり、全法人の約半分が、課税上の「赤字法人」だったのです。
これは、非常に、大きな構造的な問題です。
バブル経済の時は、どんな商売をしても、儲かりました。
そうすると、こんなに、多くの赤字法人があるとは、おかしいのです。
こういう問題を解決すれば、ケインズ的な経済政策も、有効です。
要するに、景気対策をする前に、鍋の底に空いた穴を修繕すべきです。
こんな穴だらけの税制だったから、景気対策は失敗したのです。
そして、政府には、巨額の借金が残ったのです。